その他の病気

発症する頻度はさほど高くはなくても、乳幼児期に気をつけたい病気があります。
それぞれの病気の特徴を知っておいて、思いあたる症状が出たらすぐに受診しましょう。いざというときにホームケアのしかたを知っておくと安心です。

熱性けいれん(ねっせいけいれん)
*かかりやすい時期・季節/6カ月~・通年
*主な症状/発熱、けいれん

【こんな病気】
★熱の上がり際に全身をガクガクと震わせます
 発熱に伴って起こるけいれんで、多くは熱の上がり際に起こります。乳幼児は脳の発達が未熟な時期なので、発熱による刺激を受けやすいのが原因と考えらえています。急に目をつり上げて白目をむき、唇が紫色になります。また手足をピーンと突っ張らせて全身を反り返らせガクガクと体を震わせます。発作の時間は2~3分で、発作が治まると眠り込み、しばらくすると元の状態に戻ります。家族に熱性けいれんの既往があると発症することが多くなるようです。

【治療とホームケア】
★赤ちゃんの様子を観察することが大切
 赤ちゃんを抱き上げたり、揺さぶったりせずに、衣類を緩め、吐いたものがのどに詰まらないように顔を横向きにします。口の中にタオルやスプーンなどを入れると、窒息や嘔吐につながり危険です。てんかんなどほかの病気でないか判別するために、目や手足の状態、継続時間、発作後の睡眠の様子などを観察します。
●こんなときは大至急受診して
・けいれんのあと、なかなか目覚めない
・目覚めたあとの様子がおかしい
・目覚めたあと、体のどこかにまひが残る
・手足の硬直が左右対称でない
・1回治まっても、数分~数時間後以内に再びけいれんを起こした

髄膜炎(ずいまくえん)・ウイルス性髄膜炎(ういるすせいずいまくえん)・細菌性髄膜炎(さいきんせいずいまくえん)
*かかりやすい時期・季節/新生児期~・通年
*主な症状/発熱、嘔吐、頭痛、機嫌が悪い、けいれん

【こんな病気】
★ウイルスや細菌に感染して髄膜に炎症が起こります
 脳や脊髄(せきずい)を覆っている髄膜が炎症を起こす病気です。ウイルスや細菌が脳内に侵入するとこの病気を発症しやすくなります。ウイルスが原因で起こるウイルス性髄膜炎と細菌が原因で起こる細菌性髄膜炎があります。
 発熱や激しい頭痛、嘔吐などが見られ、けいれんや意識障害が起こることもあります。体や首がいつもと比べて硬く感じることもあります。早期の治療が重要なので、様子がいつもと違うと感じたら受診しましょう。

【治療とホームケア】
★原因を特定して薬物治療を行います
 髄膜炎が疑われる場合は腰椎(ようつい)と腰椎のすき間に針を刺して行う腰椎穿刺(ようついせんし)によって、髄液(ずいえき)を調べ、原因であるウイルスや細菌を特定します。
 ウイルス性髄膜炎で軽症の場合は、夏風邪やおたふくかぜウイルスが原因のことが多く、入院は短期間です。解熱鎮痛薬などの対症療法を行います。
 細菌性髄膜炎の場合は、細菌の毒性が強いと、早期に治療を行っても後遺症を残すことがあります。インフルエンザ菌や肺炎球菌によるものは、予防接種の効果が高いので、積極的に接種を受けましょう。

川崎病(かわさきびょう)
*かかりやすい時期・季節/6カ月~4才・通年
*主な症状/5日以上続く発熱、不機嫌、発疹

【こんな病気】
★原因不明の全身の炎症性の病気です
 全身の炎症性の病気で、原因は不明です。4才以下の乳幼児が患者の約8割を占めます。
 40度近い高熱が5日以上続く、手足が腫れぼったくなる、さまざまな形の発疹(ほっしん)が出る、目が充血する、唇が真っ赤になる、赤くブツブツとしたいちご舌になるなどが症状です。まれに心臓の血管の一部に冠動脈瘤(かんどうみゃくりゅう)ができることがあり、一過性の場合と後遺症として残る場合があります。

【治療とホームケア】
★入院治療後も定期的に検査をします
 入院治療が基本で、ガンマグロブリンを点滴します。発熱などが治まり、症状が軽減し、冠動脈瘤ができていないことを確認するまでは入院が必要です。入院期間は軽症で1週間~10日程度、症状によっては2~3週間ほど必要な場合もあります。また、退院後も少なくとも5年間くらいは、冠動脈の状態を超音波で調べる必要があります。

急性脳症(きゅうせいのうしょう)
*かかりやすい時期・季節/新生児期~・通年
*主な症状/けいれん、嘔吐、顔色が悪い

【こんな病気】
★急に脳が腫れてけいれんや意識障害が起こります
 急激に脳が腫れて、ひきつけや意識障害を起こす病気です。軽症から重症までさまざまなタイプがあります。脳の圧が高まるために血液の循環が悪くなり、脳の機能に影響が出て、嘔吐や意識障害をきたします。重症の脳症では後遺症や生命に影響が出ることもあります。
 インフルエンザウイルスや突発性発疹の原因となるヒトヘルペスウイルス6型や7型などのさまざまなウイルスが原因となりますが、そのメカニズムはまだ完全には解明されていません。

【治療とホームケア】
★早期診断と治療が重要。夜間でも受診します
 急性脳症の診断は、MRI検査や髄液、脳波検査などが必要なため、疑わしい場合は専門病院での入院検査が必要となります。発熱に引き続き、意識障害や異常言動が起こったら受診が必要です。
 軽症例は経過観察のみの場合もありますが、重症の場合は、インフルエンザ脳症のガイドラインに準じて脳低温療法やステロイド、ガンマグロブリン療法などを行います。

鉄欠乏(てつけつぼう)・鉄欠乏性貧血(てつけつぼうせいひんけつ)
*かかりやすい時期・季節/先天性、3カ月~・通年
*主な症状/顔色が悪い、機嫌が悪い

【こんな病気】
★鉄が欠乏するために貧血になります
 体内の鉄が欠乏した状態を鉄欠乏といいます。軽症であれば血液中のヘモグロビンの濃度は正常ですが、程度が強くなると鉄欠乏とともにヘモグロビンも低くなります。ヘモグロビンは、酸素と結びつき、体のすみずみに酸素を運ぶ働きをしています。ヘモグロビンが減少すると、筋肉や脳などに十分に酸素が供給されないため、各組織の働きが不十分となります。貧血がなくても鉄欠乏は発達や情緒にも影響を与えるとされ、診断されたら積極的に治療を行います。
 症状では診断が難しく、血液検査で赤血球の大きさが小さかったり、大きな赤血球と小さなものが混在しているときは鉄欠乏が強く疑われます。

【治療とホームケア】
★鉄分不足が原因の場合は、鉄剤服用と食事の工夫をします
 貧血の診断には血液中の赤血球数、赤血球の大きさ、大小不同の程度、ヘモグロビンの量を検査します。赤ちゃんに最も多い鉄欠乏・鉄欠性乏貧血は、鉄剤の服用が必要なことも多く、治療を行うと、急速に血液検査の値はよくなります。服薬は数カ月間続けるほうが再発を防げます。鉄剤は飲みにくいですが、工夫して飲ませることが大切です。
 赤身の肉や魚、レバー、しじみ、大豆、ひじき、ほうれん草、小松菜など、鉄分を多く含む食品を意識して食事に取り入れましょう。鉄分は、タンパク質やビタミンCと一緒にとると、吸収が促進されます。

神奈川県立こども医療センター 総合診療科部長 松井 潔先生

ママの悩みQ&A

11カ月の娘が、熱性(ねつせい)けいれんを起こし救急外来を受診しました。その後まだ微熱が続いてます。入浴はしないほうがいいでしょうか。高熱が出たせいか、下半身などに湿疹(しっしん)がたくさん出ています。
病気のときの入浴の可否は、医師によって意見が分かれるこ…回答を見る

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